2009年09月14日 懐かしい甘さ「たわら最中」 埼玉
埼玉県幸手の権現堂堤に、有名な桜と菜の花を見にドライブ途中、国道4号日光街道沿いや、ちょっと道をはずれて「道の駅アグリパークゆめすぎと」のある広域農道を走っていると、突然、田圃の真ん中に大きな看板を発見します。それは「献上たわら最中」とだけ書かれた看板。
いつも気になって気になってしかたがないのですが、その店がどこにあるのかよくわからなかったのです。
それをつい先日見つけました。
どうやら本店は幸手から川を越えた茨城県猿島のあたりのようですが、埼玉県北東部、つまり東武伊勢崎線の沿線沿いにいくつも支店がある「柳屋正家」という和菓子店でした。

吉川市にある小さな支店を覗くと、店には大きな「献上銘菓」と書かれた謂われ書きが、掲げられています。
明治神宮の大祭に献上銘菓として奉納した羊羹「雲龍」がその銘菓だそう。
店内には羊羹と最中、それに埼玉銘菓の五家宝や、近くの草加煎餅などが並べられていて、上生菓子や餅菓子は置いていません。
羊羹がメインなのかなと思っていると、なぜかこのお店の名物は「最中」なのです。道ばたで発見した看板しかり、店の名の冠は「たわら最中」なんです。献上した羊羹よりも、人気が出たんでしょうね。
ころっと肉厚のまさに俵型の最中。皮は薄めで、いわゆる唇にはりつくタイプ。私はちょっと苦手です。
あんこはここまで詰め込むか!というくらいにたっぷり。「半殺し」の粒あんの量を増やしたくて、皮が薄くなった感じもします。
大きさのわりに重量感があるのは、このあんこのせいでしょう。
まるで、ぜんざいを食べているような甘みの強さが特徴です。
埼玉県北東部ではお使いものに定番の最中だと、お店のおじいちゃんの談。
昔ながらの田舎風最中という感じで、なんだかとても懐かしく感じる最中です。
1個146円
■柳屋正家
埼玉県 吉川市 平沼1丁目24-15
電話048-982-1228
■たわら最中柳屋正家
埼玉県北葛飾郡杉戸町杉戸2丁目1927
0480-35-2378
店の名は上記2つの表記があり、のれん分けなのか、親戚なのか、まったくの他人なのか、よくわかりません。
by monako
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2009年09月09日 鮎の形が珍しい「鮎の天ぷら最中」 東京・神楽坂

「鮎の天ぷら最中」は鮎の形をしているだけでも、結構、珍しいと思うのですが、さらに、それを菜種油と米油で揚げてあります。味でも、もう一工夫できないかと首をひねる職人さんの姿が浮かぶようですね。
中は小豆餡と白餡の2種類。包みの色で区別できます。ひとつ230円です。

細身の鮎を袋から出すと香ばしい香りが漂ってきます。種(皮)は油でしっとりしていますが、思ったほどしつこくはありません。でも、揚げているだけにボリュームは満点。
本店は神楽坂ですが、有楽町交通会館の中にもあります。北海道物産店や全国の特産品が揃う「むらからまちから館」などと並んでいます。
梅花という名のつく和菓子屋さんは全国にたくさんあるようです。サイトで検索すると、たくさん出てきます。和菓子の意匠として、いかに梅の花が愛されているかという証拠ですね。全国の梅花という名のつく和菓子屋さんがネットワークを作ったら面白いかもしれませんね。
By あずき
■神楽坂梅花亭
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2009年09月07日 花見を目と舌で感じる「桜花」 東京・上野

お月見最中として紹介した「十三夜月」を作っている岡埜栄泉本家では、まるで香合のような形をした、美しい最中を作っています。それが「桜花」。
こんなにきれいな皮種、ほかに知りません。
パリッとして香ばしい皮に、貴重な丹波春日産の大納言小豆を使った贅沢な最中。大粒の大納言粒あんはコクがあり、ところどころに硬めの小豆が入っているのは、岡埜栄泉が得意とする大福の塩豆っぽくて、いかにも江戸の和菓子という感じです。
幻想の世界を紡いだ作家、泉鏡花はこの店の最中を愛したといいます。
閑話休題、東京には岡埜栄泉という名の和菓子屋が30軒ほどあるといいます。私の実家のある町にも隣町にもありましたから、もしかしたらもっとたくさんあるかもしれません。
「初祖」「総本家」などあるので、そのはじまりはすでに謎となってしまっています。今回紹介したお店は上野駅前ですが、すぐ近くの上野広小路にある岡埜栄泉(初祖岡埜栄泉総本舗)とは何の関わりもないんだそう。
どこかで暖簾を分けたはずですが、もうその系図を作ることは無理のようです。
ただ、どの店も「大福」が名物。東京人は大の大福好き。餅菓子が好きなんですよね。そして塩豆が入っていてちょっと塩気があるのが、どの店も同じ。
根底にある味の歴史だけはどの店にも受け継がれているんでしょうね。
■岡埜栄泉本家
最中をはじめ名物の和菓子は楽天で購入できます。
http://www.rakuten.co.jp/okanoeisen/
by monako
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2009年09月07日 名月とともに味わいたい栗最中「十三夜月」 東京・上野

もうすぐ中秋の名月ですね。そろそろ栗が出始める季節。最中と組み合わせる素材で最も多いのが栗ではないでしょうか。
栗入り最中は、ちょっと贅沢な味わいです。
東京・上野に本店を持つ岡埜栄泉本家の栗最中が「十三夜月」。満月までもうちょっと、という少し欠けた月は、栗の形とちょっと似ているのかもしれませんね。
この「十三夜月」はひとつぶ栗入りのこしあん最中。栗入り最中というと一般的にはちょっと大きめですが、こちら小さめにころっとした栗の形、小さい分厚みがあります。手のひらにのせるとかわいいんです、これが。
餡は上品なこし餡で、皮までがぎっしり入っています。関東の人はつぶ餡好きですが、栗の風味と甘さを生かすには、この控えめなこし餡がちょうどよいように思います。
ひとつぶ栗の満足感も高く、その形と味わいは、改まったお茶席にも使いたいセンスと技を感じさせてくれます。パッケージもかわいいですよね。
月見に団子ならぬ最中も、たまにはおつではないでしょうか。
1個200円
■岡埜栄泉本家
最中をはじめ名物の和菓子は楽天で購入できます。
http://www.rakuten.co.jp/okanoeisen/
by monako
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2009年09月07日 今がチャンス!創業100年の元祖小倉アイス最中 東京・湯島

最中を冷やしてみたらおいしいに違いない。
そう考えたアイディアマンは、さらに小豆にアイスを加え、小倉アイス最中を完成した。
今ではスーパーや菓子店のアイスコーナーにもある小倉アイス最中。その元祖は東京の下町、湯島にある甘味店「みつばち」だ。
小倉アイスはあんことアイスクリームが渾然一体となり、豆の風味とバニラの香りが鼻腔をくすぐる。餡の甘さとアイスクリームのとろけるくちどけが重なって、コクがあるのに後味はさっぱり。
皮種はアイスクリームの水分に負けない固くてパリッとした食感がまたいい。
この小倉アイス最中を愛してやまなかったのが、私の大学時代の今は亡き恩師。
旧制一高から帝大へと進んだ戦前のエリート学者だったのだが、その恩師が若きバンカラ学生だった頃、みちばちでデートするのが夢だったという。
夢は夢のまま終わったようで、「男友達とよく通いましたよ」と笑っていた。
恩師の思い出の味わいたくて、若かった私はボーイフレンドとデートに「みちばち」へ。
古風な暖簾にガラガラっとあける引き戸。木の一枚板のテーブルに網代に編んだ四角い木の椅子。ちょっと薄暗くて、たぶん恩師の時代と大差ない佇まいを残していた。
小倉アイス最中の素朴な味わいがその雰囲気とよく合っていた。

が、今年その店を訪れてみると、店内は和風ながらも、かなりリニューアル。
昔は割烹着を着た店員さんだったはずが、今ではメイド風のエプロンドレス姿。
以前は一種類しかなかった最中アイスが、10数種類にも増えて、一瞬、ここは「サーティワン??」と思ってしまうほど。
「みちばち」も変わったなあ〜、と感嘆しきりだったが、小倉アイス最中の味はあのときのまま。恩師から受け継がれてきた淡い恋心がよみがえってくる。
さて、この「みつばち」が今年2009年で創業100年を迎えた。
それを記念して、2009年9月7日〜11日と,9月14日〜18日の間、
小倉アイスが 100円で提供される!
この機会にぜひ、100年受け継がれてきたアイディア最中を味わってみてはいかがだろう。
■みつばち
サイト http://www.mitsubachi-co.com/
by monako
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2009年09月07日 益々繁盛の願いを込めた「斗升最中」 滋賀・近江八幡

「としょう?」「とます?」 読めない場合は、指差すしかないですねえ。
正解は「ますますもなか」。後ろの字は「ます」と読めますが、「斗」も「ます」と読むんですね。知りませんでした。漢検受けてるみたい。たねやのネーミング由来には、こんなふうに書いてありました。
斗や升の文字は、水や穀物などの量をはかる「枡」のことです。
「ますます」の言葉に升の字をあてるのは昔からある言葉遊びのひとつ。
判じ物とも呼ばれるこの遊びは、文字の中にもうひとつの意味をこめたものです。
「二升五合」の判じ物では、二升は升がふたつで「ますます」。
五合は一升の半分で「はんじょう」。
続けて読めば「ますますはんじょう」という意味になります。

なるほど。で、肝心の最中ですが、これもなかなか凝っています。写真をみるとわかるように、2種類の餡が入っています。ひとつは粒餡。もうひとつのグリーンの餡は柚子だそうです。
種の表面のラインに合わせて割れば、きれいに粒餡と柚子餡に分かれるのでしょうけど、私はへそ曲がりなので、90度逆に切ってみました。この方が、二人で食べるときなんか、両方の餡を味わえていいのではないでしょうか。きれいだしね。もちろん、お店ではバラでも買えます。
by あずき
■たねや
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2009年09月03日 羽二重皮が独特のたねや「ふくみ天平」 滋賀・近江八幡
それは、たねやの「ふくみ天平」。天平は「てんぴん」と読みます。

たねやといえば、東京の大手百貨店の地下売り場には必ずといっていいくらいあるお店ですね。でも、本店は滋賀県の近江八幡市。もともとは種を扱っていたということで「たねや」。お菓子づくりが始まったのは明治5年だそうです。以来136年、老舗中の老舗です。
私はデパートに行ったときは必ず、和菓子店を覗くようにしています。というのは、定番のお菓子のほかに、季節によって、ちょっとずつ違った種類のお菓子が出ているから。季節をいち早く取り入れる。和菓子職人さんの腕の見せ所でもありますね。

たねやでは、最中は定番中の定番。「ふくみ天平」のほかにも「斗升最中」というのがあります。これは「ますますもなか」と読むんだそうです。たねやは凝った名前を付けるのが好きなようですね。「斗升最中」は次回ご紹介するとして、今回は「ふくみ天平」のお話です。
手作り最中ですが、これは皮とアンコが一つのパッケージにセットされています。だから、福砂屋のように、どちらかが余るということはありません。おもむろにパッケージを開けて、餡を皮にはさんで食べます。なんとなく、お上品に食べてしまうのは、最中の姿が上品だからでしょうか。

最初に食べた時、皮のパリパリさ加減に驚きました。たねやの紹介文をみると、こう書いてあります。
芳ばしい最中種に米どころ近江の近江羽二重を、
あわせる餡には厄除けの願いをこめて紅小豆を、
そして餡につつむのは豊かな実りの富久實(ふくみ)餅。
羽二重がこのパリパリ感を作っているのでしょうか。餡には確かに、お餅が入っています。パリパリ感とモチモチ感、この二つが最中のおいしさを作り上げているのねと、納得。
ひとつ94カロリーだそうです。そう知ったら、さらにおいしく感じます。で、もうひとつ...。ごちそうさまでした!
by あずき
●たねや
posted by monako at 16:40
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2009年09月03日 信長ゆかりの「まけずの鍔」 滋賀・安土町
小豆の黒いあんこにするか、白いんげんの白あんにするか、二つの餡が並んでいたら、餡好きは迷ってしまいますよね。そして2個買ってしまう・・。
そんな餡好きの心をわしづかみにしてしまう最中が、「まけずの鍔」。
北海道産大納言小豆と白インゲン豆の黒白2色の自家製餡が詰まってます。皮は、地元滋賀羽二重餅を特別香ばしく焼き上げたもの。コクのある小豆とさっぱりした白餡のハーモニーに、おもわずにんまりしてしまう味わいです。
「まけずの鍔」といっても、あまり聞いたことのない最中と首をかしげる人もいるでしょう。こちら、滋賀県は安土町にある「万吾楼」という和菓子店がつくっています。
ローカル線の小さな安土駅前で、一番目立つのが織田信長像、次に目立っているのが、このお店です。「まけずの鍔」のネーミングには、この織田信長が関わっています。
安土といえばもちろん「安土城」のあった地。安土城といえば、織田信長が思い浮かびますよね。
この信長が、今川義元を倒した桶狭間の戦いの前夜、熱田神宮に戦勝祈願し、永楽銭を投げたところすべて表を向いたそう。その後いくさに勝利した信長はこれはラッキーアイテム!と考えたのか、永楽銭を刀の鍔に埋め込みました。そ
が「まけずの鍔」です。
安土駅前に立つ織田信長像。人間五十年〜」と舞っています。訪れたのは春。ちょうど銅像の脇に可愛い小さな花びらをつけた「織田桜」が咲いていました。
この鍔のおかげで連戦連勝した信長。最中にもそんな信長の力が宿ると考えたのでしょうか。受験生やスポーツ選手に人気なのだそうです。
以前、ビジネスマンの謝罪アイテムとして「切腹最中」をご紹介しましたが、こちらは開所祝いとか、新規事業祝いなど、ビジネスシーンにも使えるかもしませんね。
1個 180円
■万吾楼
http://www.biwa.ne.jp/~mangoro/
※サイトでは通販で「まけずの鍔」を入手できます。
by monako

posted by monako at 11:11
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|もなこのもなか旅草子
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2009年09月03日 カステラの福砂屋にもあった「手づくり最中」 長崎
長崎の福砂屋といったら、何を連想しますか? そう、もちろんカステラですよね。今では、百貨店や大きなショッピングビルにも店舗があったりして、日本を代表するお菓子となりました。南蛮渡来のはずなのに。

最近、このタイプの手作り最中をよく見かけます。自分で作るので、子供さんがいるご家庭のおみやげにいいですよ。喜んで食べてくれます。でも、最初は、餡をどのくらい入れたらいいかわからなくて、多かったり、少なかったり。ようやく適度なアンコの量を会得したころには、3つくらい食べてたりするんですよね。
大人には何がいいかというと、皮がパリッとしていて、皮のおいしさがよくわかること。1個分相当 84kcalというのも、安心です。8個入り、16個入り、32個入りがあり、私が買ったのは16個入り。

私の場合、アンコが好きなので、多めに入れるせいか、皮が余ってしまいました。かしこい人は、ちゃんとアンコをまず等分して食べるのでしょうけど。子供みたいですね。

ところで、福砂屋のサイト、アクセスしたとたんに、結構大きな音で音楽が鳴ります。お仕事中の方はご用心。えっ、もう遅い、鳴らしちゃったって?
by あずき
●カステラの福砂屋
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2009年09月01日 大正時代に生まれていた虎屋の「ゴルフ最中 ホールインワン」 東京
その中でも地味なお菓子「最中」に関するものは、さらにありません。和菓子の本の中に、ちょっと触れられているだけ。最近は、書店に行くと、和菓子の歴史や知識を書いた本はないかと探すようになりました。
で、古本屋で見つけたのが『虎屋 和菓子と歩んだ5百年』新潮社新書。虎屋17代目当主・黒川光博さんが著者です。

和菓子は宮中行事とともに歩んできたようで、さまざまな行事や儀礼の際に、参加者に記念として配られました。主役は、やはり饅頭や羊羹。そして、上のような華やかなお菓子が、宴席を彩ったようです。本を読み進んでいきましたが、なかなか「最中」の文字は出てきません。

三菱財閥の創業者・岩崎弥太郎の甥にあたる岩崎小弥太夫人孝子さんのアイデアだというのです。岩崎家では、当時頻繁に、宮家や軍人、外国の賓客などを招いて宴会を催していました。孝子夫人はその人たちを驚かせる趣向はないかと考え、ゴルフボールのお菓子は作れないかと、当時の虎屋15代目・黒川武雄当主に相談。ゴルフなるものを知らなかった当主や店員は開発に苦心したようです。
なんとか出来上がり、パーティーの当日、一同がゴルフのプレーを終えて帰ってくると、それぞれの宴席には1ダースのゴルフボールが入った箱が置いてありました。いい国産ボールがなく、外国製品も手に入りにくい時代なので、みな大喜び。ところが、箱をあけてみると、それが最中だったので、またびっくり。そして、会は大いに盛り上がったのだそうです。
これが大正15年、1926年のこと。すぐに昭和の時代に入りますが、大人気となり、今につながっています。

ということで、虎屋の「ゴルフ最中 ホールインワン」、今では二つ入りのパッケージに入って販売されています。中はこし餡です。会社のコンペで配られたりしているのでしょうね。社用族御用達の最中というのも珍しいことですね。
by あずき
●御菓子司 とらや
posted by monako at 23:20
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